外国人社員の日本語研修、何から始める?
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外国人社員向けの日本語研修を検討する際、「JLPT N2なら、仕事ではどのくらいのことができるのか」「社員ごとに日本語レベルが違う場合、どのようにクラスを分ければよいのか」など、判断に迷うことは少なくありません。
このページでは、企業の人事・研修担当者の方が特に迷いやすい4つのポイントをもとに、外国人社員の日本語力の見方と、研修を計画する際の考え方をご紹介します。

1.外国人社員の日本語レベルをどう判断する?
外国人社員の日本語研修を計画する際、最初に必要になるのが、現在の日本語レベルの確認です。
JLPTの取得レベルが分かっている場合は一つの参考になりますが、「N2だから上級」「N3だから中級」とだけ判断すると、実際の仕事で必要な日本語力との間にずれが生じることがあります。
- JLPTなどの日本語資格や学習歴
- 日本での生活・勤務経験
- 会話、読解、作文など、得意な技能と苦手な技能
- 仕事のどのような場面で困っているか
| 確認する項目 | 分かること | 注意したいこと |
|---|---|---|
| JLPTの取得レベル | 文法・語彙・読解・聴解力の目安 | 会話力や作文力を直接示すものではありません |
| 学習歴・滞在歴 | どのような環境で日本語を学び、使ってきたか | 学習年数だけでは、実際の運用力を判断できません |
| 本人へのヒアリング | 会話の様子、得意・不得意な技能、本人が感じている課題 | 本人の認識と、上司から見た課題が異なる場合があります |
| 業務上の困りごと | 研修で優先すべき内容 | 課題が漠然としていると、研修の目的が定まりにくくなります |
研修前には、資格だけで判断せず、学習歴、会話の様子、仕事で必要な日本語を組み合わせて確認すると、適切な受講レベルを考えやすくなります。
2.同じJLPT N2でも会話力や仕事でできることが違う
JLPT N2は、外国人社員の採用や日本語力の確認において、参考にされることの多いレベルです。幅広い文章を読んだり、自然に近い速さの会話やニュースを理解したりする力を示しますが、会議、電話、接客、メールなど、実際の業務で必要な日本語力をすべて表すものではありません。
- 会議で自分の意見を分かりやすく伝えられるか
- 上司に状況を整理して報告・相談できるか
- お客様の質問にその場で対応できるか
- 相手や状況に合わせて敬語を使えるか
- 社内メールや報告書を適切に書けるか
また、同じN2合格者でも、これまで日本語を学び、使ってきた環境によって、得意なことや苦手なことは異なります。
読解は得意だが、話すのが苦手
試験問題や資料は理解できても、その場で考えをまとめ、言葉にして伝えることに時間がかかる場合があります。
日常会話はできるが、業務説明が難しい
同僚との日常的な会話には困らなくても、仕事の進捗や問題が起きた経緯、対応状況などを順序立てて説明することが難しい場合があります。
専門的な会話はできるが、敬語が苦手
専門知識や業務内容について説明することはできても、お客様や上司など、相手に応じて敬語や丁寧な表現を使い分けることが難しい場合があります。
会話は自然だが、読み書きが苦手
日本での生活経験が長く、会話には慣れていても、漢字を含む資料を読んだり、社内メールや報告書を書いたりすることが難しい場合があります。
JLPTとCEFRの関係や、試験結果を見る際の注意点については、「JLPTとCEFRの対応表」で詳しく解説しています。
3.レベルが違う社員の研修をどう分ける?
複数の外国人社員が研修を受講する場合、全員の日本語レベルや業務内容が同じとは限りません。
N2レベルとN3レベルの社員を同じクラスにしてもよいのか、職種が異なる社員が一緒に学べるのかなど、クラスの分け方に迷われる企業様も多くあります。
クラスを考える際は、JLPTのレベルだけで分けるのではなく、仕事で必要な日本語や研修の目的もあわせて確認することが大切です。
- 現在の日本語レベル
- 仕事で日本語を使う場面
- 研修でできるようになってほしいこと
共通して学べる内容があるかを確認する
日本語レベルが近くても、接客担当者と事務担当者では、仕事で必要な日本語が異なる場合があります。
一方で、職種が異なっていても、「上司の指示を正確に理解したい」「社内で報告・相談ができるようになりたい」など、共通の目標があれば、一緒に学べることもあります。
受講者のレベルや目的がどのくらい共通しているか、同じ時間に受講できるか、個別に扱いたい課題があるかを確認しながら、受講方法を選びます。
自由予約型のレッスン
社員がそれぞれ、自分のレベルや予定に合うクラスを選んで受講する方法です。
- 社員ごとにレベルや予定が異なる
- 決まった曜日・時間での受講が難しい
- 学びたい内容に合わせてクラスを選びたい
企業単位のグループレッスン
共通の目標を持つ社員が、決まった曜日・時間に一緒に学ぶ方法です。
- 受講者のレベルが比較的近い
- 共通して学びたい内容がある
- 受講者同士でも会話練習をしたい
プライベートレッスン
社員一人ひとりの日本語レベルや業務上の課題に合わせて学ぶ方法です。
- 社員ごとにレベルや課題が異なる
- 特定の業務場面を練習したい
- 発話や質問の時間を多く取りたい
社員の方がレベルや予定に合わせてクラスを選べる受講方法については、フレックスレッスンのご案内をご覧ください。
4.研修の目標・期間・成果をどう決める?
外国人社員の日本語研修を計画する際、最初から長期間の内容を細かく決める必要はありません。
まず、仕事のどのような場面で日本語を使えるようになってほしいかを考え、一定期間研修を行ったあとで、受講状況や職場での変化を確認します。
- 仕事の場面に合わせて目標を決める
- 3か月や6か月などの期間を設ける
- 受講後の変化を確認し、次の内容を考える
仕事の場面に合わせて目標を決める
「日本語を上達させる」「会話力を伸ばす」という目標だけでは、研修内容や成果が分かりにくくなります。
実際の仕事で、日本語を使って何ができるようになってほしいかを考えると、必要な研修内容を整理しやすくなります。
- 上司の指示を確認し、作業の進捗を簡潔に報告できる
- 会議で担当業務について説明し、質問に答えられる
- お客様の要望を確認し、基本的な案内や聞き返しができる
- 社内チャットやメールで、要点を分かりやすく伝えられる
JLPTの合格を目標とする場合も、試験対策だけでなく、業務で必要な会話や説明の練習をあわせて行うことができます。
まずは3か月や6か月の区切りで考える
研修に必要な期間は、現在の日本語レベル、受講頻度、目標によって異なります。
電話対応や接客表現など、特定の場面を集中的に練習する場合は、比較的短い期間で取り組めることがあります。一方で、基礎的な文法や語彙から学び、仕事で安定して日本語を使えるようになるには、継続的な学習が必要です。
まず3か月や6か月などの区切りを設け、受講状況や講師の所見を確認しながら、次の目標や研修内容を見直す方法もあります。
研修後の変化を確認する
JLPTの合否やテストの点数は、成果を確認する一つの方法です。ただし、会議での発言や社内コミュニケーションの変化は、試験結果だけでは分からないこともあります。
- 受講状況:出席率や学習の継続状況
- 講師の所見:理解度、発話の変化、今後の課題
- 本人の実感:話しやすくなった場面や、まだ不安を感じる場面
- 職場での変化:報告、会議、接客などで、できるようになったこと
研修を始めると、当初は見えていなかった課題が分かることもあります。受講後の変化を確認しながら目標や内容を調整することで、次の研修計画につなげやすくなります。
5.外国人社員向け日本語研修についてのよくある質問
JLPT N2なら仕事で問題なく日本語を使えますか?
N2は日本語力を知るための重要な目安ですが、会話力や作文力を直接測定する試験ではありません。会議、電話、顧客対応などに必要な力は、学習歴や日本語を使ってきた環境によって異なります。
JLPTを受けていない社員の日本語レベルも確認できますか?
はい。学習歴、日本での生活・勤務経験、仕事で困っている場面などを確認しながら、受講レベルを考えることができます。
N2レベルとN3レベルの社員を同じクラスにできますか?
レベル差が小さく、仕事で必要な日本語や学習目的が近い場合は、一緒に受講できることがあります。理解度や発話力に大きな差がある場合は、クラスを分けたほうが学びやすいこともあります。
グループレッスンとプライベートレッスンはどちらがよいですか?
社員ごとにレベルや予定が異なる場合は、自由予約型のレッスンが利用しやすいでしょう。受講者のレベルや目的が近く、同じ時間に受講できる場合は、企業単位のグループレッスンが適しています。社員ごとに異なる業務課題を扱いたい場合は、プライベートレッスンが合いやすく、複数の方法を組み合わせることもできます。
外国人社員の日本語研修は何か月必要ですか?
現在の日本語レベル、受講頻度、目標によって異なります。特定の接客表現や電話対応を学ぶ短期研修が適している場合もあれば、基礎力や業務会話を伸ばすために継続的な研修が必要な場合もあります。
日本語研修の成果はどのように確認できますか?
出席状況、学習内容、講師からのコメント、試験結果、本人が感じている変化、実際の業務でできるようになったことなどを組み合わせて確認できます。
研修内容がまだ決まっていなくても相談できますか?
はい。現在困っていることや、社員の方にできるようになってほしいことを伺いながら、受講形式、研修内容、スケジュールなどを整理することができます。
まとめ
外国人社員の日本語レベルは、JLPTの取得レベルだけでなく、会話や読み書きの力、仕事で日本語を使う場面もあわせて確認することが大切です。
受講者全員を同じクラスにする必要はありません。レベル、目的、勤務時間に合わせて、自由予約型のレッスン、企業単位のグループレッスン、プライベートレッスンを選び、必要に応じて組み合わせることができます。